WING DRAIN開発 2013-2017

国立がん研究センター東病院 伊藤雅昭先生、西澤祐吏先生のご協力のもとWING DRAIN(村中医療器)を開発し、特許登録いたしました。

通常直腸癌手術で癌を切除した後に残った腸管をつなぎ直し、便の通り道を再建します。つなぎ目が術後に離開して、便がお腹の中に漏れ出てしまうことが約15%の頻度で起こります(縫合不全と言います)。そうなると患者さんは再手術し人工肛門が必要になるといった多大な不利益を被ります。つなぎ目にかかる腸管内圧の上昇がその原因の一つと考えられています。

このドレーンは腸管をつないだ時に、肛門から挿入しそのつなぎ目の近傍に留置し腸管内の圧をドレーンを通じて外に逃がし減圧することで縫合不全を回避することを目的に開発しました。

この新しく開発したWING DRAINを用いて、多施設臨床試験を実施し縫合不全発症率が5.2%に有意差をもって減少することができたと実証されました(国立がん研究センター東病院、国立がん研究センター中央病院、がん・感染症センター都立駒込病院、北里大学病院、岩手医科大学附属病院、静岡がんセンター)。平成29年には薬事承認および保険適応されました。

https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000031452

直腸癌手術によって人工肛門が必要になってしまったり、また手術後に縫合不全を起こして苦しむ患者さんが少しでも少なくなればと大腸・直腸外科医として切に願っています。

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